●アドビ イラストレーター(Adobe Illustrator)の用途(概要)
ベジェ曲線を扱うアドビ イラストレーターは、ドローソフト(講座1[ベジェ曲線初級編]-1参照)と呼ばれるカテゴリーに入ります。アンカーポイントを描いていくだけで、さまざまな形を作成することができます。
イラストレーターの名前からも分かるように、イラスト作成に利用されることが多いです。
イラストといっても挿し絵などに使われる一般的なイラストから、商品の取扱説明書に載っているテクニカルイラスト、お店の位置を示す地図イラストなど、その用途も多様です。
「ベジェ曲線」という線を使うので、以前ならペンやマーカーのような画材で描かれた線画(+着色)のイラストの大半は、イラストレーターで描かれています。
油彩や水彩画のように美術寄りのイラストは少し荷が重いので、その場合はPainterなどのペイントソフトを使用します。
製図と呼ばれる図面を作成する作業は、ほぼ100%パソコンに移行しているのではないでしょうか。誰でも簡単に描けるようになりました。0.1mmの線を0.1mmピッチで描くような匠の技が、イラストレーターなら素人でも簡単にできます。
取扱説明書に出てくる線画イラストやトレースもイラストレーターです。(CADソフトの方がより正確に、より簡単に製図できますが、印刷などに使う場合はデータ形式の関係で、イラストレーターを経由させるか、直接イラストレーターで作図する必要があります)。
文字も柔軟に扱えますのでロゴやグラフ、地図などもイラストレーターで作成します。印刷、映像、Webに必要なパーツを作るときは、たいていイラストレーターが使われます。
広告、ちらし、パンフレット、本の表紙など、パーツをレイアウトする作業(いわゆるDTP)もイラストレーターの出番です。これ一本でさまざまな作業がこなせます。
ソフトを一本買うなら、まずイラストレーターでしょう。デザイナーやイラストレーター必須のソフトです。(実際、普段でもワープロソフトの代わりに、テキストエディタ+イラストレーターを使って書類を作っています。痒いところに手が届くので、逆にワープロソフトの方が面倒臭いです…)
●アドビ イラストレーター(Adobe Illustrator)では、できない、行わない作業
イラストレーターは(無駄に?)進化していますので、いろいろなことができるようになってきました。でも苦手なことやできないことがあります。
○ページ組のレイアウト
イラストレーターはDTPに使われますが、ページ数が増えると、イラストレーターではページ分だけファイルが必要になります。100ページなら50ファイル(見開き2ページで1ファイル)作ることになるので管理も一苦労。万一ページの増減が発生すると、見開きで1ファイルなので該当するページのデータを手作業でずらしていく作業が発生します。共通のページデザインを変更すると、すべてのファイルに同じ訂正をしなくてはなりません。
こんな場合は、InDesignやQuarkXPressといったレイアウトソフトを使用します。別にイラストレーターで作業しても構いませんが、余計な部分にまで神経を使うのは大変です。
○写真の加工
写真などの画像を扱う場合はフォトショップ(Photoshop)を使います。レタッチのような加工はイラストレーターでは不可能です。色味などの調整はできますが、やはりフォトショップの方が断然便利(比べること自体、無理があります)です。特に理由がない限り、画像はフォトショップに任せましょう。
○アナログ的なイラスト
メッシュやグラデーション、透明度などを利用すれば、油彩や水彩画の雰囲気を出すことは可能です。しかしかなり緻密な作業が必要になります。イラストを描くというより、組み立てるという感じです。自分のイメージをストレートに表現するのであれば、ペイントソフトでアナログ的に描くのが一番です。